人間のヒラヒラ

久しぶりに大学で授業を受けた日。

 

窓際の隅に安心感を覚えてぼーっと回りを見渡して居たら、暑さを感じた。

その時ふと自分の口元に違和感を覚えて、マスクの存在が不自然で仕方なくなった

 

周りの子も当然みんなマスクをつけてる。これからどんどん暑くなって薄着をしても、当たり前のようにマスクで口を覆い、口元だけ暑さを逃せない夏が来ることに気付いたとき、

いつまで私たちはマスクをするんだろうとよくある疑問が芽生えた。

 

そして、もしこのまま外すことができない。マスクが今以上に当たり前の存在となってしまったら、もしかしたら、もしかしたら、

人間の皮膚が発達して、口元を覆うような魚の鰓のようなヒラヒラした皮膚が生えてくるのではないかと考えてしまった。

気持ち悪くてそんなの嫌だし、口紅はどこにつければ良いのか分からないから絶対に嫌だと思いながら、ずっとその恐怖と進化について考えていた。でもそれもきっとすぐに当たり前になって、今度はその不気味なヒラヒラをおしゃれに化粧で着飾る日が訪れるのかと気づくと

心臓がずきりと動く感覚を覚えた。慣れてしまうことは怖い。そして私はこの歳になってもこんなくだらないことを考えてるのかとげんなりした。

 

もちろんこんなことを考えてる人間だ。

授業は一切聞いていない。